[ConstitutionDAO 2/2]ConstitutionDAOはどうなった?

この記事に書いてあること:

  • ConstitutionDAOがオークション後にどうしているか

この記事に書いていないこと:

  • PEOPLEトークンについて
  • ConstitutionDAOで用いていた技術スタック
  • 解散までのごたごた


前編はこちら
[ConstitutionDAO 1/2] 合衆国憲法買ってみるチャレンジに参加してきました


ConstitutionDAOはどうなった?

お祭りのように盛り上がったConstitutionDAOは、解散することになりました。


もともとサザビーズのオークション参加前から、

落札できたらトークンを投票権にして憲法初版の展示会場を決める、

負けたら返金する、

という活動方針だったので、それに沿った決定ということです。


ただその告知があってからも、決定に至るまでには

「これだけの規模で集まったのだからこのまま活動を続けよう」

 「このお金をNFT購入の資金にしてファンドにしよう」

 「こういう有意義な活動をするDAOに資金提供しよう」

などなど、いろんな人が活発に議論をしていました。


ところでこの活動はあまり話題になっていないような印象を受けますが、それは日本語での紹介記事が少なかったからかと思います。

オークション終了後にいくつか翻訳された記事もありましたが、数も熱量も少ないという印象は変わりませんでした。

 

この運動に関する記事紹介

いくつか今回のConstitutionDAOについて書かれた記事を紹介します。

WallStreetJournalの記事はアート寄りの視点で記事が書かれている印象ですが、そのおかげか内容がすっきりしていておススメです。アートの文脈(どういう作品がオークションで扱われてきたか)のなかで、このConstitutionDAOが新しい動きであるという風に紹介されています。

Rare Copy of U.S. Constitution to Be Auctioned 
合衆国憲法の初版がオークション出品されるという9月の記事

Crypto Investors Want to Buy Rare Copy of U.S. Constitution 
オークション前日、仮想通貨の投資家たちが合衆国憲法落札しようと活動している、という記事

Crypto Group’s Bid for Constitution Faces Real-World Snags—Who Picks It Up? 
同じくオークション直前、ConstitutionDAOの活動についての記事。注目度が伺える特集。

Copy of U.S. Constitution Sells for $43.2 Million as Crypto Group DAO Is Outbid 
個人投資家が、ConstitutionDAOを抑えて落札した、という記事

The Art Market Surges, Selling $2.3 Billion in Works 
アートマーケットの急成長という記事でConstitutionDAOについても触れられている

Citadel CEO Kenneth Griffin Outbid a Group of Crypto Investors for Copy of U.S. Constitution 
ConstitutionDAOと競り合ったケネス・グリフィンについての記事

VC Daily: In Venture Investing, Early Stage Moves to Main Stage 
秋のアートマーケットについて解説する記事では「a large group of cryptocurrency investors who had crowdfunded more than $40 million earlier in the week in a frenzied attempt to win the document」として紹介されている。


他の媒体での記事もいくつか紹介します。こちらはいずれもオークション終了後の記事です。

ConstitutionDAO Outbid for First Printing of America’s Founding Document in Sotheby’s Auction

1週間で54億円集めたDAO(自律分散型組織)、狙いは「合衆国憲法の原本」 
CoinDeskからの翻訳記事

https://techstory.in/constitutiondao-outbids-sothebys-for-first-printing-of-americas-founding-document/


活動に参加してみて

ConstitutionDAOは結果としては負けてしまいましたが、「この短期間でこれだけの資金を集めたDAOって何者??」という疑問の形で人々に大きな波紋を残しました。 「DAO」自体は2016年頃からある言葉ですが、オークション直前までに「DAO」というワードの検索数が過去最高を記録したそうです。


また、今回は課題点も浮き彫りになりました。 集団の性質上、落札予定額がオークションの相手にも筒抜けになってしまうことです。 DAOが集めた金額から手数料や展示に係る費用を引けば、「この額以上を出せば競り勝てるな」というのが一目瞭然となります。

その対策か公式サイトで随時更新していた資金額は途中から「40M$ over~」のようなあいまいな形式になっていましたが、 ブロックチェーンのパブリックネットワークは情報がオープンなので、直接DAOのコントラクトを見に行かれたら資金額は隠せません(今回はクラウドファンディングプラットフォームのjuiceboxに、詳細な金額がずっと載っていた)。


このように、DAOの社会への影響や問題点を花火のように照らし出したConstitutionDAOは、 希望者全員への返金対応という形で終わりを迎えます。

いろいろな意味で終了を惜しまれた活動でしたが、それはあくまで「合衆国憲法を落札しようぜ!」という目的に向かってシンプルに進んだ結果かと思います。

 

運営からは、丁寧ですがシンプルな 「落札できなかったから返金する」 「コミュニティも解散する」 という結論がアナウンスされました。

2021年12月21日 8PM ESTまでに、公式Discord Serverは閉鎖される予定です。




To us, this is closing our role in this chapter of this unprecedented journey.

Our final note is that we hope that, after we’re gone, the past few weeks serve as a reminder of what’s possible - that a group chat of internet friends with memes and dreams can strive towards ambitious goals 🙂

(ConstitutionDAO公式DiscordServerの運営投稿より引用)

私たちにとって、これでこの前代未聞の旅のこの章における私たちの役割を終えることになります。
私たちが去った後、この数週間が、ミームと夢を持ったインターネット上の友人たちのグループチャットが、野心的な目標に向かって努力することができるという、何が可能かを思い出させるものとなることを願っています🙂というのが私たちの最後の言葉です。




20211222追記

2021年12月22日朝(日本時間)に確認したら、多数あったDiscordのテキストチャンネルがすべて消去されていました。

こうなることはわかっていましたが、ひとつの運動が終わったことを実感しました。