にくきゅう
作家/エンジニア
1986年北海道生まれ
幼稚園のとき、牛乳パックでくるまを作ったことをおぼえている。
小学校でステンシルを習い、雪の中にりんごがひとつ落ちて、遠くに線路の見える絵を描いた、その絵の情景が美しかったことをおぼえている。
中学校の木工室で、ノコギリで板や丸棒を切って作った本立てが、いまも手元にある。
高校の時にプラモデルに熱中し、はじめてエアブラシ塗装をしたモビルフラットは今もたまに眺めている。
大学で学んだ機械加工や知識は、作品制作の選択肢を大いに広げてくれている。
働きながら夜間学校で学んだ人形アニメーションは、あらゆる素材の用途や魅力を教えてくれた。
わたしの制作の興味はおおむね3ヶ月で変わる。
骨格標本、電子工作、木工、音楽、スプレー画、プログラミング、ぬいぐるみ、溶接、藍染め、3DCG…
3ヶ月で消えたものが、数年後に少し違う形をとって再燃する。さながら螺旋状に、前の3ヶ月を土台とし消化したうえで、新しい興味として噴出してくる。
はじめて制作したA0サイズの「山河有」という絵は、筆、スプレー、塗料、マスキング、パネル、すべてプラモデル用品で揃えた。
ボックスアートとして出品した「うさぎとかめ」は、数年前に作った骨格標本やぬいぐるみ、電子工作用モーターを用いて、美しいと思う情景をモチーフにしてまとめた。
手法の話をしているな。
構想の話をしたい。
わたしは作品を通して、よく知っているものについての意外な見方を発見してほしい。
それは直接描かれない富士山であり、
枯山水の亀であり、
代官山に肩甲骨が存在する仮想現実の鯨であり、
面相筆の先端に付いた白い地球である。
見慣れた地形、身体、道具のなかに、違うスケールや存在の気配を重ねたい。
表現の手段手法は毎回ゼロから考えていたつもりだが、螺旋を覗きこむと子どものときの自分がいる。
これからも大いに興味を変え、角速度を増しながら、周りの景色が少し違った存在として現れてくるような、作品を通した対話の場を作っていきたい。