[ConstitutionDAO 1/2] 合衆国憲法買ってみるチャレンジに参加してきました

先週(2021/11/17)、合衆国憲法を落札しようとする「ConstitutionDAO」というプロジェクトに参加してきました。

これはSotheby'sオークションで合衆国憲法の初版(1787年に刷られた、現存する13部のうち1部)が出品されるというニュースを受けて、ネット上で「お金集めて合衆国憲法を人民の手に取り戻そうぜ!」という動きが盛り上がり、最終的に2万人ほどが参加し1万ETH以上(約50億円)を集めたプロジェクトです。

Sotheby's(サザビーズ)は世界最古のオークション会社で、年間20億ドル(2,200億円以上!)もの年間売り上げを誇っています。 
 
合衆国憲法が出品されるというのも驚きでしたが、そこに暗号通貨での落札を考える人たちがいるというのも衝撃でした。


オークションのニュース自体は今年の9月頃からあったようですが、僕はオークション前日に↓のTwitterを見て知りました


「ConstitutionDAO」はその名の通りConstitution=合衆国憲法を落札しようとするプロジェクトのことで、DAO(Descentralized Autonomous Organization)という暗号通貨を介した形式で資金や賛同者を集めていました。  

DAOについての説明は長くなるので、ひとまず「暗号通貨を介した集まりのこと」という説明に留めます。


僕はDAOというものに少し興味があったので、少額ですが出資してみました。
0.001ETH(500円)を出資するのに必要な手数料(gas fee、ガス代といいます)が0.01ETH(5,000円)がかかって涙目でしたが、ちゃんと出資できました。


次にConstitutionDAOのDiscordサーバーに参加しました。  
最近は議論や報告をDiscordというSNSツールで行うのが便利で割とみんな使っています。  

ここではConstitutionDAOのサイトに掲載してある目標額を伸ばす改修をしよう、とか 
ConstitutionDAOはこんな目的でやっているよというルールとか、  
映画で独立宣言書を盗み出したニコラス・ケイジの画像を加工して遊んだりだとか、  
お祭り騒ぎのように物事が進んでいました。  

ニコラス・ケイジのネットミームがモチーフ

Discordではそれもちょいちょい見る景色ですが、今回は規模とスピードが桁違いでした。

参加した時点(オークション前日)は「2,000万ドルを超えそうだ!」と言っていたのが、
あれよあれよという間に  
「3,000万ドルにゴールを移動しよう!」  
「ゴールはいくらがいいか投票してね!」
「4,000万ドル超えた!」  
「4,300万ドル超えたからサイトの表示は消すね!」 
 
と、ものすごい勢いで進んでいきました。
その間、実に1日。

1週間で43億円というのもすごいですが、そのうち20億円以上は1日で集めているのでとんでもないです。


そういう大きな金額が動くのは企業が仕事をする上ではあることですが、
今回すごいのは、  

「なんのスキームもない状態から1週間で50億円集めた」

ということだと思います。


ちなみに資金提供の際にメッセージを残せるのですが、いろいろ見ていくと
「This is a gift for my daughter, a first generation American.」
というメッセージもあったりして、  
これは移民の方?が、これからアメリカで生きていく娘のために、合衆国憲法は民衆のものだと、それをプレゼントしようというメッセージなのかなと思ったりしてぐっときました。




11/19(金)朝(アメリカ時間の18:00)、オークションが始まりました。


入札者がみんな電話を持って誰かと相談しながら、金額を伝え、司会者が「どう?」と身を乗り出し、「これで決まるよ?いいね?」とばかりにハンマーをカンッと(意外と音が小さい)叩くと次の作品が紹介される、とてもスピードが速く緊張感がありました。


そうして奈良美智やバンクシーの落札が決まっていきます。

  
バンクシーのオークションも、初めて暗号通貨での入札が導入されたらしく話題のようでした。  

しかし当日はそんなことはわからず「あれ?ETHで落札されてる?憲法もこんな感じなのかな?」とハテナだらけでした。

現代美術の出品の間に、U.S.Constitution(合衆国憲法)を紹介するムービーが流れる

そして日本時間の9時頃に、目当ての「合衆国憲法初版」のオークションが始まりました。

ETHの表示もなく、誰がConstitutionDAOなのかわかりません。  
そもそもDAOの運営者ぽい人が現れたり、
わかりやすく紹介でもされるのかとなんとなく思っていたので、
あっという間に入札金額が3,000万ドルを超えている間も混乱していました。  


それはDiscordにいた人たちも同様だったようで、  

「どっちがDAO側なの!?」  
「DAOはオークションに参加してないのか??なんで??」
「(入札者は2人だけになっていたので)左と右どっちかがDAOなのか??」
(実際は英語なのでイメージです。)

など、誰もわからず阿鼻叫喚でした。
そうしてあっという間に4,300万ドルまで値が上がり、入札をしたBrookという女性が落札をしたようでした。


これは後から知ったことですが、オークション自体は入札の匿名性が重視されており、画面上で入札をしているのはSotheby's社員とのことでした。 
 
そしてConstitutionDAOの代理人が誰であるかも公表はされず(運営も言えなかった)、後から「DAOは負けた」と運営の発表があって、初めて結果を知ることとなりました。


ConstitutionDAO後編 へ続く